「日米社会イノベーターフォーラム09 スケールを求める社会起業家たち」
*ゲストスピーカー紹介

◇フォーラムゲスト(米国):
■ヴィリー・ワン氏(ベイキャットCEO)
大手法律事務所、投資銀行勤務を経て、サンフランシスコ地域の低所得地域の子供・若者たちに対して、デジタルメディアスキルを教育し、エンパワー、そして雇用を産み出す、というモデルを過去4年に渡って実践。シティグループやNetImpactなどの顧客を持ち、支援している若者の数は数百名規模ではあるものの、確実に実績を出している女性起業家。彼女が、全米に知られる社会起業家、ビル・ストリックランド氏の講演を聞き、刺激を受け、彼の事業モデルを踏襲する形で現在の事業を始めています。また、ビルの紹介もあり、スコール財団、ピエール・オメィディアー氏による財団(いずれもeBay創始者で若き億万長者)から出資を受けています。
【BAYCATについて】http://www.baycat.org/
BAYCATとは、米国サンフランシスコ・ベイエリアの低所得エリアの青少年や成人に対し、ウェブ・デザイン、フィルム・メイキング等のデジタル・メディアのスキルを学ぶ機会を提供し、クリエイティブなプロジェクトを通じて成長・自立を促し、雇用を促進することをミッションとする非営利団体です。

■アナンド・ドラキア氏(ルートコーズ シニアコンサルタント)
2005年にルートコーズに参画、全米高齢者向けのサービスプログラム、学童児童向けの教育プログラムに関わるビジネスプラン・プロジェクトに従事。前職ではボストン地域のNPOに対する戦略立案、ビジネスプランニング等にコンサルタントの経験があり、また6年間の大企業及びベンチャー企業向けの技術デザインの経験も有する。ラトガース大学にてインダストリアル・エンジニアリング学位を、バブソン大学にてMBAを取得。
【Root Causeについて】http://www.rootcause.org/
ルートコーズとは、ソーシャル・イノベーターを支援し、社会的インパクトを目指す投資家らを啓蒙することで社会的・経済的な問題に対する持続的な解決を促進することをミッションとしている団体。2004年、起業家であり2000年初頭からソーシャル・アントレプレナーシップに関しボストン地域の大学を中心に教鞭を採っていたアンドリュー・ウォルク氏が約22億円の出資を集め設立された、米国ボストンに拠点を置く非営利団体です。特に政府、民間、NPOの協業、中小企業向けの持続的な問題解決を目的としたコンサルティング、出版、リサーチを通じたサービス提供や、年1回開催されるソーシャルイノベーションフォーラムの運営を通じ、全米でも高い評価を得る団体として知られている。

◆◆◆◆◆
◇フォーラムゲスト(日本):
■ルーム・トゥ・リード東京チャプター共同代表 中島恵コールドウェル氏
大学卒業後、大手広告代理店に就職。主に海外ブランド日本導入時においての戦略づくり、ブランド構築プロジェクトを多く手がける。結婚出産を機に退社。
長女が5歳の時に識字の重要性と子供への影響を目の当たりに体験、長男の
幼稚園入学をきっかけにRoom to Readの活動を始める。家族はアメリカ人の夫と
8歳、5歳、0歳の子供3人。
【ルーム・トゥ・リードについて】http://www.roomtoread.jp/
2000年、マイクロソフトの幹部社員だったジョン・ウッド氏が、ネパールで本のない図書館を
目の当たりにしたことをきっかけに、会社を退職してルーム・トゥ・リードを設立。2020年まで
に1000万人の子どもたちに教育を受ける機会を作ることを目標に掲げ、開発途上国で
学校や図書館の設立、英語の児童書の提供、現地語の児童書の出版、女子への奨学金
支援などを行っている。2000年の設立以来、アジア、アフリカの9カ国に活動が展開し、
765校の学校建設、7,168カ所以上の図書室/図書館の設立,7,132の長期女子奨学金の
提供などを通じ、310万人以上の子どもに教育の機会を提供してきた。
Room to Read website: http://www.roomtoread.org/

■株式会社スワンベーカリー代表取締役 海津歩氏
1960年東京都生まれ。1985年、アルバイトからヤマト運輸に入社。世田谷の営業所に所長として就任した当時から、様々なアイディアを実行し、業績を上げる。以来、各地の営業所長、支店長を歴任。業務改革に取り組む。2005年
「スワンベーカリー」を経営する株式会社スワンを、小倉会長亡きあとに引き継ぎ、代表取締役社長に就任。現在に至る。
【スワンベーカリーについて】https://www.swanbakery.jp/
「障がいのある人もない人も、共に働き、共に生きていく社会の実現」を目指し、障がい者に
月給10万円以上支払うことを実証する店として、ヤマト運輸の会長、小倉昌男氏が1998年
に創業。簡単においしく焼けるパン生地を使ったベーカリー事業を行う。現在直営店3店、
チェーン店23店で合計280人の障がい者(7割が知的障がい者)が働いている。海津氏
の社長就任後、アーティスト支援や、株式会社スワンの母体であるヤマト運輸のインフラを
活用した通信販売ほか、外出できない障がい者の在宅就労など様々な新しい取り組みが
行われている。

■有限会社ビッグイシュー日本代表 佐野章二氏
1941年大阪生まれ。都市科学研研究所主任研究員、地域調査計画研究所代表などを経て、
2003年より現職。地域プランナーとしてまちづくり方策、市民公益活動の制度化などの提案を行う。
2001年にはシチズンワークスを立ち上げ、市民研究講を提唱。その第一号講である「ホームレス問題
研究講」から雑誌「ビッグイシュー日本版」を生んだ。
【ビッグイシュ - 日本について】http://www.bigissue.jp/
ホームレスの人々に、路上で雑誌「ビッグイシュー」を販売する仕事を提供し、彼らの自立を支援する事業。1冊300円の雑誌を販売すると、160円がホームレスである販売者の収入になる仕組みで、雑誌は月に2回、現在までに125号を発刊。札幌、仙台、千葉、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡、鹿児島等、日本各地に販売拠点が広がり、2003年の創刊以来、約960人が販売員に登録し、約90名が路上生活から脱出した。売上合計部数は329万冊、累計4億1,063万円が販売員の収入となった (2009年6月現在)。2007年9月には有限会社ビッグイシュー日本を母体にした
「ビッグイシュー基金」(2008年4月にNPO法人化)を設立。ホームレスの人々の自立のために、就業を含めた総合的なサポートを行っている。
ビッグイシュー基金website http://www.bigissue.or.jp/index.html

◆◆◆◆◆
◇主催・コーディネーター:
■金子郁容 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科委員長/教授
慶應義塾大学工学部卒。スタンフォード大学にてPh.D.を取得。ウィスコンシン大学准教授、一橋大学教授などを経て現職。99年から2002年まで、慶應義塾幼稚舎長兼任。専門は情報組織論・ネットワーク論・コミュニティ論。『ボランティア』『新版 コミュニティ・ソリューション』(共著)ほか著書多数。近著に『日本で「一番いい」学校 −地域連携のイノベーション−』
■井上英之 慶應義塾大学総合政策学部専任講師
NPO法人ETIC(東京)プロデューサー/ソーシャルベンチャーパートナーズ東京代表
慶應義塾大学在学中、奥尻島援助やルワンダ難民帰還プロジェクトに参画。公共センターにおけるマネジメントの必要性を実感しジョージワシントン大学大学院に進学、その後、ワシントンDC市政府、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループを経て、NPO法人ETICに参画。ソーシャル・ベンチャーセンターを設立。02年より日本初のソーシャル・ベンチャー向けビジネスコンテスト「STYLE」を開催する等、社会起業家の育成・輩出に取り組む。2005年、国際交流基金フェローとして、米国シアトルの社会起業向け投資機関「Social Venture Partners」に勤務。 同年秋より、慶応義塾大学総合政策学部専任講師。 2009年にYoung Global Leadersのひとりとして、世界経済フォーラム(ダボス会議、スイス)より選出。

■井上有紀 慶應義塾大学SFC研究所訪問上席所員
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科修士課程修了。専門は、社会起業のスケールアウト(他地域展開)。修士論文では、日英米の先進的団体にインタビューを行い、特定の地域モデルの水平展開の可能性を示唆。2004年より経済人コー円卓会議にて、企業の社会的責任に関するコンサルティング業務に従事。2005年Standard Chartered Bank Japan広報部に出向しCSR担当。2007年よりSFC研究所上席所員(訪問)。2008年株式会社ウィル・シード客員研究員を経て、2009年2月よりソーシャルベンチャー・パートナーズ東京に参画。現在、研究プロジェクト「デザイニング・ソーシャル・イノベーション」共同主宰。スケールアウトコンサルティングにも従事している。

|